女性ならではの視点と異業種の強み

今回のツアーでは茨城の魅力を体感することができたとともに、これからの農業の可能性、進むべき方向について考える新しい視点を得る機会となりました。

農業女子といわれるように、今日の農業において女性の役割は非常に大きく、注目が集まっています。そのような女性たちはどのような思いがあって、またそれをどのようにして実現させていくのか、とても興味がありました。

実際に多くの農家の方にお会いしてお話を伺う中で、みなさんこれからの農業の姿を自分たちの視点から考え、それを実現させていく過程にありました。

その中でも女性の農家さんは、“自分なりの視点”を大切にしているように感じました。
藤田観光りんご園の藤田さんは、アップルパイやジャムなどの加工品の開発に力を入れており、また築105年の母屋をお客さんにも体験してもらうなど、非日常的な体験をする場を提供されていました。りんごのおいしさを多くの人に伝えたいという思いを持ち続けながら、進んでいく。現状を変えていくには何が必要なのかを考え続けるは大切なことなんだと気付きました。
また、私が非常に刺激を受けたのは、ドロップファームの三浦さんです。
三浦さんは学生時代から販売のお仕事が自分にとって非常に向いているということがわかっていたそうです。
農業とは全く違う分野ですが、これが非常に役に立っているのです。
国の補助金などを利用し、ハウスを建てる前から販売計画まできちんと立ててトマトの栽培に望む。全て逆算して物事を実行していくことでその時やるべきことを明確化していました。
自分が売るものをお客さんにどう感じてもらいたいのか、そのためにはどこでどう売るべきか。徹底的に分析することで商品の位置付けをします。
また、お客さんからの評価を受けることを大切にされるなど、これまであまり重要視されてこなかったことにも目を向けられていました。
そして、自身が農業を始められるきっかけでもあった、家族との時間を確保すること。そのためにしっかりとした就業規則を定めたり、子どもがいても無理なく働ける職場の実現に力を入れておられました。

こうした取り組みは、自身の以前の職の経験を生かし、人の意見を取り入れることで実現され、女性が働きやすい環境をつくっていくことにつながります。そこに女性が集まり、新たな雇用が生まれる。
このような循環を生み出せるのは、農業とは全く関係のない異業種での経験が必ず生きています。他で何か一つでも強みのある人は農業を他の視点から捉えることができ、その課題を認識できる。そこに自らの経験をもとにしたアプローチをしていくことで、今までにない取り組みになります。


その人ならではの視点で行われている農業は、なぜこれほどに魅力的なのでしょうか。
それは、その人にしかない強みを生かした取り組みが人を魅了するからだと考えます。
このような取り組みに刺激を受けて、自分はどんな農業がしたいのか考えていこうと思います。

2日間という短い時間でしたが、農業について様々な考え方を持った農家の方々や同世代とのつながりや私たちを実びつけてくださった美菜部のみなさんから様々なことを学びました。

茨城にはなんでもある。新しい農業の形がある。そう強く感じたはじめての茨城体験でした。

AGRI GIRL meets IBARAKI

農学部で学んでいる・農業に関わる仕事をしてみたい、そんな女子大生たちが、素敵な農家さんとの出会いを求めて、全国第2位の農業産出額を誇る農業大国「茨城県」を巡ります。農作業体験や生産者さんとの交流を通じて、女子大生たちが発見した「茨城で農業をすること」の魅力を、真剣に・明るく・楽しくお伝えします。